RIZIN29試合後に引退表明をした石渡 伸太郎(いしわたり しんたろう)選手。
格闘技ブーム再来までの長い時間、日本の格闘技界を支え、盛り上げてきた選手の一人と思っています。
ガッツ溢れる試合展開は、観ているファンを盛り上げて来ました。
最近はSNSやyoutubeで、格闘家とは違った一面を見ることができますが、今回は石渡選手がどのような格闘家だったのか?経歴を振り返ってみたいと思います。
目次
プロデビュー前の石渡選手
石渡選手は中学から柔道を始め、高校、大学へ進学後も、そのまま柔道をしていたそうです。
ただ、調べた感じだと、そこまで熱心に柔道に注力してはいなかったみたいですね。
大学在学中に総合格闘技を始めていたそうなので、やはりそこまで柔道に思い入れは無かったのでしょうか?
確かに総合格闘家である石渡さんはストライカーの印象なので、柔術をバックボーンにしている他格闘家と少し違うのかもしれません。
結果として、この転向が石渡選手としてはハマっていたのでしょうか。
総合格闘家として、アマチュア戦で8勝1敗とかなりの好成績を残し、プロ昇格となります。
このプロ昇格と同時期に、なんと就職も決まってたそうです。凄い・・・
しかし、華々しいプロデビュー・・・とはならず、デビュー戦黒星、次戦も引き分けと、中々戦果を挙げられずにいたようです。
この結果から、プロの格闘技に対して認識が甘かったと感じ、会社を入社3か月で辞職するという一大決心をします。
ここが、石渡選手の大きな岐路だったのでは?と個人的に思います。
中々そんな決断できませんよね。
ただ、ここから石渡選手のプロ格闘家としての人生が、本格稼働を迎えます。
パンクラス絶対王者への道のり
2006年修斗にてプロデビュー後、SRCや戦極にて実績を積み、2011年に戦場をパンクラスへ移します。
初戦こそ引き分けで、勝利で飾ることはできませんでしたが、なんと3戦目には井上学選手とのタイトルマッチに勝利し、第2第バンタム級キング・オブ・パンクラシストの座に輝きます。
その後、なんとこの王座を5回防衛しているという凄さ・・・。いや凄い。
各試合結果を以下に簡単ですが、まとめてみました。
1回目防衛 赤井 太志朗 判定勝ち(3-0)
2回目防錆 斎藤 曜 判定勝ち(3-0)
3回目防衛 ビクター・ヘンリー 判定勝ち(3-0)
4回目防衛 ジョナサン・ブルッキンズ 判定勝ち(3-0)
5回目防衛 ハファエル・シウバ 判定勝ち(3-0)
意外ににすべて判定勝ちなんですね。しかもスプリットデシジョンは一つも無いところを見ると、明確な実力差を試合で見せているのが分かりますね。
また、この防衛戦の中でも、ハファエル・シウバ選手との防衛戦勝利は、ファンの中でも語り継がれています。
なんせこのシウバ選手はかなりの強敵。
タイトルマッチ時点の勝率が84.8%と脅威の数字で、これは石渡選手の当時の勝率を上回っています。
試合内容も、前半こそシウバ選手優性で進みますが、後半に入ると、持ち味のガッツを魅せ、試合をひっくり返し、完全な判定勝ちを収めています。
また、このバンタム級キング・オブ・パンクラシストの王座を2019年に返上しています。
(このベルト返上後、シウバ選手が3代目バンタム級王者となっています。)
この間なんと7年間以上保持していたことになります。
当時日本の格闘技人気が下火であり、中々世間に認知されなかった歯がゆさがあったと、引退記者会見でも、本人の口から出ていました。
時間を経てですが、この実績の凄さが少しでも多くの人に伝われば良いな、と思っています。
個人的に、この時期に扇久保選手と一度も試合していなかったことに驚いています。
因縁のライバルへのリベンジ!RIZIN参入
パンクラスからRIZINへの参入を決定することになった理由に、堀口恭司選手との因縁は外せないでしょう。
石渡選手と堀口選手は2013年「VTJ 2nd」での対戦経験があり、この際は5R KOで堀口選手が勝利しています。
当時パンクラス バンタム級チャンピオンである石渡選手と、修斗フェザー級チャンピオン堀口選手の対戦は、当時ファンの中では注目の一戦となっていました。
対日本人となるとほぼ敗けなしだった石渡選手に勝った堀口選手は当時からめっちゃ強い・・・と文面だけでは読み取れるかもしれません。
が、試合を観るに実力はかなり拮抗していたように感じます。
この堀口選手へのリベンジを果たすべく、石渡選手もRIZINへの参入を決意し、2017年に開催された、RIZINバンタム級GPに参加します。
この後のリベンジの舞台も最高ですね。
なんとこのGPの決勝戦で堀口選手と2回目の対決を迎えることになります。
実に4年越しのリベンジ戦です。
トラブルとは言え、ヘッドバットによるダメージの残りが懸念される堀口選手と比べ、失神KO、持ち前のガッツを魅せた試合で勝ち上がった石渡選手の方が、良い流れで決勝へ挑めていた印象でした。
しかし、試合に挑むと圧倒的な実力の前に2RでKO敗けを喫します。
敗けてしまいましたが、パンチを効かされても立ち上がるガッツを遺憾なく発揮していました。
試合の詳細、インタビューまで↓の動画で確認できます。是非ご覧ください。
敗けた後の石渡さん・・・格闘技って壮絶ですね。
この後、主戦場をRIZINに移すことになりますが、この試合後、ヘルニアにより1年半近く離脱することになります。
復帰戦こそ勝利で飾ったものの、次戦の扇久保戦で無念の判定負けを喫し、バンタム級GP1回戦で井上選手にTKO敗けとなり、引退を発表することになります。
引退発表した石渡選手の今後
冒頭で記述した通り、RIZIN29の試合後、引退について口にした石渡選手。
7/20に行われたRIZIN30の記者会見の場で、正式な引退表明が行われました。
引退の理由として
「これまで蓄積したダメージ、怪我、特に首がずっと良くない状態で練習が満足にできない状態で、これ以上、上位陣を倒す自分の姿が想像できなかったので『引退』という区切りを付ける事を決意しました」
と述べています。
ケガが要因で自分が勝てるイメージを持つことができなくなったそうです。
また、これからの動向については、指導者として今後の日本格闘技界を盛り上げていくつもりみたいです。
RIZIN側としては、石渡選手の意向に沿った要望をしているようで、選手の育成に注力して欲しいらしく、RIZIN男塾・塾長として取り組んでもらいたいそうです。
・・・RIZIN男塾・塾長とは?笑
と思っていましたが、Twitter等を拝見するに、すでに塾長として活動を開始しているみたいです笑
また、引退セレモリーの情報が決まり次第、RIZINオフィシャルサイトで告知されるそうです。
今の日本格闘技界の盛り上がり、再ブームを起こした要因として、石渡選手という存在は欠かせないものだったに違い無いです。
この記事を通じて、少しでもその活躍が広まれば良いな。と思っています。
石渡選手、本当に今までお疲れ様でした。