最近、井岡一翔(いおか かずと)選手の名前をスポーツニュースなどでよく目にする人も多いのではないでしょうか。WBO世界スーパーフライ級王座に就いている選手です。おそらく、2団体統一世界王者の井上尚弥選手に次いで有名な日本人世界王者です。
昨年の大晦日、WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチが行われ、王者の井岡一翔選手は、挑戦者の田中恒成選手を下し、2度目の王座防衛を果たしました。
この試合は、内容が素晴らしく、大きな盛り上がりを見せ、日本ボクシング年間表彰にて、年間最高試合に選ばれました。井岡選手は技能賞も獲得しています。
今回は日本屈指の技巧派王者である井岡選手について深掘していきたいと思います。
目次
井岡一翔のwiki的プロフィール!
出典:毎日新聞
井岡一翔のWiki的プロフィール!
名前:井岡 一翔(いおか かずと)
出身地:大阪府堺市
誕生日:1989年3月24日
身長:165.6cm
血液型:B型
所属:Ambition GYM
その人の特徴等:日本人男子初の世界4階級制覇王者
井岡選手は中学1年時からボクシングを始めました。中学3年時に叔父の井岡弘樹氏が設立した井岡ジムへ移っています。
高校時代はライトフライ級で2年時と3年時に、選抜大会、インターハイ、国体で優勝しており、高校6冠という輝かしい成績を残しています。
高校卒業後は東京農業大学に進学しました。大学1年時、北京オリンピックへの出場を目指していましたが、全日本アマチュアボクシング選手権大会の決勝で敗れ、惜しくも出場を逃しました。
北京オリンピックという目標が消えたことにより、プロ転向を決意。そして大学も中退しました。
後に井岡選手には、様々な重要な選択を迫られる場面が訪れますが、この切り替えの早さと重要な局面での決断力は、この時からずっと変わっていない芯の強さを感じます。
井岡一翔の戦績は?その強さとは?
こちらが井岡一翔選手のプロ戦績です!
28戦26勝(15KO)2敗
戦 日付 勝敗 内容 対戦相手 備考 1 2009年
4月12日勝利 TKO トンタイレック・ポーウォラシン プロデビュー戦 2 2009年
7月26日勝利 TKO 松本博志 3 2009年
12月29日勝利 判定
3-0國重隆 4 2010年
4月18日勝利 判定
3-0ヘリ・アモル 5 2010年
7月25日勝利 TKO アルバート・アルコイ 6 2010年
10月10日勝利 TKO 瀬川正義 日本ライトフライ級王座決定戦 7 2011年
2月11日勝利 TKO オーレイドン・シスサマーチャイ WBC世界ミニマム級タイトルマッチ 8 2011年
8月10日勝利 判定
3-0フアン・エルナンデス WBC防衛1 9 2011年
12月31日勝利 TKO ヨードグン・トーチャルンチャイ WBC防衛2 10 2012年
6月20日勝利 判定
3-0八重樫東 WBA・WBC世界ミニマム級王座統一戦
WBA獲得・WBC防衛311 2012年
12月31日勝利 TKO ホセ・アルフレド・ロドリゲス WBA世界ライトフライ級王座決定戦 12 2013年
5月8日勝利 KO ウィサヌ・ゴーキャットジム WBA防衛1 13 2013年
9月11日勝利 KO クワンタイ・シッモーセン WBA防衛2 14 2013年
12月31日勝利 判定
3-0フェリックス・アルバラード WBA防衛3 15 2014年
5月7日敗北 判定
1-2アムナット・ルエンロン IBF世界フライ級タイトルマッチ 16 2014年
9月16日勝利 判定
3-0パブロ・カリージョ 17 2014年
12月31日勝利 KO ジャン・ピエロ・ペレス 18 2015年
4月22日勝利 判定
2-0ファン・カルロス・レベコ WBA世界フライ級タイトルマッチ 19 2015年
9月27日勝利 判定
3-0ロベルト・ドミンゴ・ソーサ WBA防衛1 20 2015年
12月31日勝利 TKO ファン・カルロス・レベコ WBA防衛2 21 2016年
7月20日勝利 KO キービン・ララ WBA防衛3 22 2016年
12月31日勝利 TKO スタンプ・キャットニワット WBA世界フライ級王座統一戦
WBA防衛423 2017年
4月23日勝利 判定
3-0ノックノイ・シップラサート WBA防衛5 24 2018年
9月8日勝利 判定
3-0マックウィリアムズ・アローヨ WBC世界スーパーフライ級シルバータイトルマッチ 25 2018年
12月31日敗北 判定
1-2ドニー・ニエテス WBO世界スーパーフライ級王座決定戦 26 2019年
6月19日勝利 TKO アストン・パリクテ WBO世界スーパーフライ級王座決定戦 27 2019年
12月31日勝利 判定
3-0ジェイビエール・シントロン WBO防衛1 28 2020年
12月31日勝利 TKO 田中恒成 WBO防衛2
引用:Wikipedia
井岡選手はミニマム級からプロキャリアをスタートさせています。そしてミニマム級からスーパーフライ級までの4階級で世界王者になっています。日本人男子で世界4階級制覇を成し遂げた選手は、今のところ井岡選手ただ一人です。
井岡選手は23戦目を終えた時点で一度引退を表明し、若干のブランクを作っていますが、全くブランクを感じさせず復帰し、現在、WBO世界スーパーフライ級王座をに君臨しています。
井岡一翔の強さとは?
世界4階級制覇という輝かしいキャリアを持つ井岡選手ですが、具体的にどう強いのかと言われると、井岡選手のボクシングは、なかなか一言で表現しづらいものがあります。井上尚弥選手のように、「パンチ力」「スピード」といった分かりやすい武器が、井岡選手の場合は見えにくいのです。
井岡選手の特に優れているところを3つ挙げてみました。
1.卓越したテクニック
オフェンス面では、パンチ、コンビネーションの多彩さが群を抜いています。またディフェンス面でもブロックするところ、躱すところの判断ミスがありません。そして状況に応じて瞬時に距離感を変えています。
2.冷静な分析
井岡選手の試合は、KO決着にしろ、判定にしろ、長くなることが多いです。それは相手の能力をよく見極め、試合中にアジャストしているからです。たとえ序盤は多少押され気味だったとしても、相手の特徴や弱点を見抜き、中盤以降必ず盛り返します。
3.判断力
テクニカルで安全な試合運びをする印象が強い井岡選手ですが、本人の中で勝負どころだと感じたラウンドは一気に畳みかけます。そういった試合の流れ、試合を左右するターニングポイントでの判断力を誤ることが極めて少ないと感じます。
これらの部分が、井岡選手のストロングポイントではないでしょうか。派手さがないので分かりづらい特徴ではありますが、井岡選手のボクシングはおそらく他の選手が真似しようと思ってもできない難解なスタイルだと思います。
井岡一翔は一度引退している?海外で復帰していた?
井岡選手は2017年に当時保持していたWBA世界フライ級王座を返上し引退しています。理由としては、井岡ジム側、特に父である井岡一法氏との不和が挙げられます。
当時、井岡選手自身はたとえ厳しい試合になろうと、強い選手と試合を重ねていきたかったようです。しかし、ジム側はなるべく簡単な相手と試合を行い、防衛を重ねて稼ぐことを重視していました。そういった思惑の不一致がストレスとなり、一度キャリアをリセットするため、引退を選んだと見られています。
引退前は八重樫選手、アムナット選手、レベコ選手ら強豪との試合もありますが、キャリアを通して見ると、実力者との試合が少なかったのは確かです。
アメリカで現役復帰
2018年、井岡選手は完全にかつての井岡ジムとは決別し、地域タイトル獲得経験のあるマックウィリアムズ・アローヨを相手にアメリカで復帰しました。復帰後は現在まで5戦していますが、5戦とも全試合ネームバリューのある強豪ばかりです。引退前とはがらりとマッチメイクが変わっています。
今は井岡選手にとって本当にやりたかったことができているように感じます。
井岡一翔の次戦は?今後の動きはどうなる?
井岡選手の次戦は今のところ決まっていませんが、次戦は他団体王者との統一戦に向かうのではと言われています。
こちらがスーパーフライ級の他団体の世界王者です。
・WBAスーパー王者 ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)
・WBC王者 ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)
・IBF王者 ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)
井岡選手自身は以前から、現在スーパーフライ級で最も名を馳せているエストラーダ選手との試合を渇望しています。しかし、エストラーダ選手はゴンザレス選手との統一戦に向かう動きがあり、井岡選手が入り込むには難しそうです。
一方でアンカハス選手の陣営が井岡選手との対戦を希望しており、アンカハス選手との統一戦が先に実現する可能性があります。
井岡選手が活躍するスーパーフライ級は4団体の王者の実力が拮抗しており、統一戦の場合、どの組み合わせになっても激闘が予想されます。他団体選手の動向も含め、これからの井岡選手の動きに注目していくと、ファンとしてはより楽しめるのではないでしょうか。