昨年末の大晦日、井岡一翔選手と田中恒星選手の世界戦のセミファイナルで、注目の選手が試合をしていました。
元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(ひがだいご)選手です。
3度目の防衛戦での減量失敗により王座を失い、表舞台から去っていましたが、階級を上げて去年から活動を再開し、復活を果たしています。
そしてすでに現在、WBCバンタム級15位、WBAバンタム級10位に名を連ねており、世界タイトル挑戦圏内にランキングされています。
強豪ひしめくバンタム級で再び世界タイトル奪取となるのでしょうか。
今回は比嘉大吾選手について深堀していきたいと思います。
目次
比嘉大吾のwiki的プロフィール!

出典:Number Web
比嘉大吾のWiki的プロフィール!
名前:比嘉 大吾(ひが だいご)
出身地:沖縄県浦添市
誕生日:1995年8月9日
身長:161.0cm
血液型:不明
所属:Ambition GYM
趣味:食べ歩き
比嘉選手は小学校から中学校までは野球をしていました。高校でも野球を続けていくつもりでした。しかし、テレビで放送されていた、元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏のKOダイジェストを観て心を奪われ、ボクシングの道に進むことを決意しました。
比嘉選手は宮古島へ渡り、沖縄県立宮古工業高等学校へ入学しボクシング部に入部し、本格的にボクシングを始めました。
比嘉選手と言えば、試合では相手を待つことなく、とにかく前に出てインファイトを仕掛けるスタイルが特徴的です。そういった攻めのスタイルは宮古工高時代にボクシング部の監督から伝授されたようです。ポイント重視のアマチュアボクシングで、攻めのスタイルをあえて身に着けさせた監督は、比嘉選手の生来のハードパンチャーぶりをこの時点で見抜いていたのかもしれません。
アマチュア戦績は45戦36勝(8KO)8敗となっています。国体ベスト8が目立った成績でした。この時点ではまだ比嘉選手が後にプロで世界王者になるとは誰も思わなかったことでしょう。
工高卒業後は大学には進まずプロ入りすることを決意しました。プロ入り後から比嘉選手の快進撃が始まるのです。
比嘉大吾の戦績は?そしてその強さは?
比嘉大吾選手の戦績はこちらです!
1 2014年
6月17日勝利 KO セーンゲン・サックナロン プロデビュー戦 2 2014年
8月22日勝利 TKO ロッタン・ウォーポーシーサケット 3 2014年
11月26日勝利 TKO 藤井敬介 4 2015年
1月12日勝利 KO ポンパユ・チャイヨンジム 5 2015年
5月10日勝利 TKO バーデン・リベラ 6 2015年
6月8日勝利 KO クリス・アルファンテ 7 2015年
7月24日勝利 KO コンファー・CPフレッシュマート WBCユースフライ級王座決定戦 8 2015年
11月7日勝利 TKO レンレン・テソリオ WBCユース防衛1 9 2016年
3月5日勝利 TKO ロメル・オリベロス WBCユース防衛2 10 2016年
7月2日勝利 KO アーデン・ディアレ OPBF東洋太平洋フライ級タイトルマッチ 11 2016年
11月5日勝利 KO フェリペ・カグブコブJr OPBF東洋太平洋王座防衛1 12 2017年
2月4日勝利 TKO ディオネル・ディオコス 13 2017年
5月20日勝利 TKO ファン・エルナンデス WBC世界フライ級タイトルマッチ 14 2017年
10月22日勝利 TKO トマ・マソン WBC防衛1 15 2018年
2月4日勝利 TKO モイセス・フエンテス WBC防衛2
連続KO日本記録タイ16 2018年
4月15日敗北 TKO クリストファー・ロサレス 前日に計量失格で王座剥奪 17 2020年
2月13日勝利 TKO ジェイソン・ブエナオブラ 18 2020年
10月26日引分 判定
1-0堤聖也 19 2020年
12月31日勝利 KO ストロング小林佑樹 WBOアジアパシフィックバンタム級タイトルマッチ
引用:Wikipedia
戦績を見てみると分かる通り、プロデビューから、WBC世界フライ級王座の2度目の防衛戦まで、15連続KOというパーフェクトレコードとなっています。
プロデビューから15戦連続KO勝利は、元WBC世界スーパーライト級王者の浜田剛史氏、元OPBF東洋太平洋スーパーウェルター級王者の渡部あきのり氏に並ぶ日本記録です。
この15連続KO記録の素晴らしいところは、途中でWBCユースのタイトル戦や、OPBFのタイトル戦、さらには世界戦が含まれているところです。簡単な相手とばかり試合をして作った記録ではなく、濃密な内容であったと言えます。
比嘉大吾選手のファイトスタイル
ボクシングのファイトスタイルは大きく分けて3つあります。
●1つ目は、自分のパンチ力に自信があり、自ら攻勢をかけていくファイタータイプ。
●2つ目は、フットワークを駆使したりディフェンシブに戦い、ポイントアウトを狙うボクサータイプ。
●3つ目は、そのどちらもバランスよくこなすボクサーファイタータイプです。
メジャー4団体の世界ランキングに入っている実力者たちを見てみると、ほとんどがボクサーファイタータイプです。バランスよく起用に何でもこなせなければ世界では戦えないことを表しています。さらに言えばファイタータイプの選手は極めて少なくなっています。
そういった現行の環境で、数多のKO劇を生み出し、世界チャンピオンまで駆け上った比嘉選手のファイトスタイルは完全に、ファイタータイプに特化した戦い方となっています。スピードのある相手でも、焦らずラウンドを重ねるごとにじりじりと追い詰め、最後は自慢の剛腕で相手をなぎ倒してきました。
特に世界王座を奪取した試合では、スピードがあり捉えることが難しいと言われていた王者のファン・エルナンデス選手を6ラウンドで捉え、倒しきって戴冠しました。
現在、世界的に見てもファイタータイプに特化した選手が数少ない中で、比嘉選手の戦い方は非常に魅力を感じます。やはりボクシングの醍醐味はKOだと思いますので、見ていてとても分かりやすく爽快です。
比嘉大吾はバンタム級で復活?世界戦は?
復活とありますが実は比嘉選手は2018年4月15日から、2019年10月3日までライセンス停止処分を受けていました。世界王者として臨む3度目の防衛戦で体重超過をしてしまったからです。
沖縄での防衛戦から僅か2か月後の2018年4月15日、横浜アリーナで同級2位のクリストファー・ロサレス(ニカラグア)を迎えて3度目の防衛戦を行う予定が組まれていたが、試合前日に実施された計量の1回目でリミット(50.8Kg)から900gオーバーとなり、再計量のため2時間の猶予を与えられたが制限時間30分前に計量ギブアップを宣言したことにより規定により比嘉は王座を剥奪された。この計量失敗の失態を受け、JBCは4月25日、比嘉にプロライセンス無期停止処分と復帰する場合に1階級以上転級させることを義務付け、具志堅ジムには管理責任を問い戒告処分とすることを決めた。
引用:Wikipedia
具志堅ジムというのは、当時、比嘉選手が所属していた、白井・具志堅スポーツジムのことです。現役時代、世界王座を13度防衛した具志堅用高氏が会長を務めていました。比嘉選手は具志堅氏の方針で無理な減量を強いられていたとの見方が強くあります。
できる限り減量して、より下の階級で試合ができるのであれば、体格の優位性で有利に戦えます。具志堅氏は現役時代のそういった自身の成功体験があったため、比嘉選手に無理をさせてしまったのかもしれません。
この件を機に、ジム側と比嘉選手の信頼関係が崩れ、比嘉選手は紆余曲折を経て現在所属するのAmbition GYMへ移籍することとなりました。
比嘉大吾選手は完全復活した?
比嘉選手はライセンス停止処分解除後、3試合行っています。主にバンタム級付近のウエイトで試合を行いました。
復帰1戦目のジェイソン・ブエナオブラ選手との試合では、動きにキレがなく勝ちはしたものの、モチベーションが上がらない様子でファンを困惑させました。復帰2試合目の堤聖也選手との試合では、格段に動きが良くなっていたものの、堤選手の健闘も光り、結果はドローに終わっていました。
昨年末の復帰3戦目は、WBOアジアパシフィックバンタム級王者のストロング小林佑樹選手に挑戦しました。小林選手が前評判以上に動きが良かったものの、比嘉選手は序盤から攻勢をかけ、世界王者になったころの動きを取り戻したかのような攻めでKO勝ちしました。
復帰3戦目は過去2戦と比較すると明らかに状態が良くなっていました。世界を獲った頃よりも強さが増している印象を受けました。減量苦が軽減されたのも大きな要因だと思います。完璧なKO劇で自信を取り戻したのではないでしょうか。すぐに世界戦というのは難しいと思いますが、再び世界トップ戦線へ打って出る準備は整ったと見て良いと思います。
比嘉大吾の次戦は?今後もバンタム級で試合をする?
現在のところ比嘉選手の次戦は未定となっています。
今のところ未定ではありますが、この先も、バンタム級で試合を組んでいく可能性が大変高いです。ストロング小林佑樹選手を倒し、WBOアジアパシフィックのタイトルを獲ったことでWBOの世界ランキングに名を連ねることが予想されます。
現在、比嘉選手は、バンタム級でWBA10位、WBC15位と世界ランキングに入っています。予想される動きとしては、今後バンタム級で1~2戦ランカーと試合をこなし、4団体のどこかで王座挑戦の機会をうかがうことになりそうです。
比嘉選手がバンタム級で戦っていくうえで、ひとつ懸念されることがあります。比嘉選手はバンタム級では少し小柄であり、ほかの選手と比べ、体格で劣ってしまうことです。しかし、比嘉選手には並外れた筋肉量と、生来のパンチ力、それらを活かしたファイトスタイルという、ほかの選手には真似できない武器があります。バンタム級でトップに上り詰める可能性は十分に考えられます。
そしてバンタム級には、2団体統一王者の井上尚弥選手が君臨しています。コロナ禍において世界各国の選手と自由に試合が組みにくい中、同じ日本で活動する比嘉選手がランキングを上げれば、近い将来、井上選手との邂逅もあるかもしれません。比嘉選手にはバンタム級でのさらなる飛躍を期待したいところです。