2021年大晦日、遂にバンタム級トーナメントがフィナーレを迎えました。
2020年大晦日 堀口 恭司選手の復活劇から綴られてきた、RIZINバンタム級の新たなストーリの終着点です。
この約1年間、注目し続けた格闘家ファンも多かったのでは無いでしょうか?
また、予想していた結果を大きく上回ることとなったファンも同様に存在したのでは無いでしょうか?
この記事では、大晦日RIZIN33のバンタム級トーナメント準決勝と決勝を振り返りつつ、各格闘家の弱点について考察してみたいと思います。
目次
朝倉 海選手 vs 瀧澤 謙太選手
ストライカー vs ストライカー
両者とも立ち技に自身のある選手。
容易に打撃戦となることが予想できますね。
お互いに一撃で勝敗を決する力を持っているため、展開の早い試合を予想していましたが、終始海選手が優勢をキープした判定勝となっています。
試合は距離を取りつつも一撃を入れたい瀧澤選手と、その隙をついて海選手が的確に打撃を入れるシーンが続きます。
数回瀧澤選手もいいパンチが入ったように見えましたが、ダメージは無さそうでした。
海選手が攻めきれなかった?
この試合、海選手の手数が少なかったことに気づいた方も多かったのでは無いでしょうか?
不調?プレッシャーで硬くなっている?と色々マイナスイメージを観戦時は思っていましたが、これは作戦だったようです。
この大会では準決勝で勝利した後、決勝に臨む必要があるため、体力の温存やダメージの回避が重要となります。
上記を踏まえ、無理に勝ち急がないという判断をセコンドが下したみたいで、攻め気満々な海選手を抑えていたようです。
これは”たられば”ですが、次戦の懸念が無ければもっと早い段階で勝利していたように思います。
瀧澤選手の反省点は?
ハンドスピード、威力、タイミング、得意な立ち技に於いて、完全に海選手が優位に見えました。
今後立ち技で勝ち上がっていくには、打撃全般のレベルアップが必要になりそうです。
加えて、このように得意分野でも自身よりレベルの高い相手と対した際、別の作戦でも戦えるように選択肢を増やすのも一つの手と考えます。
また、この試合で顎の骨を骨折した瀧澤選手。
ケガの治療に専念しつつ、更なる成長に期待しましょう。
扇久保 博正選手 vs井上 直樹選手
前評判を覆すベテランの”根性”
そもそも、このトーナメントの優勝候補として朝倉 海選手と井上 直樹選手の名が、より多く挙げられているような前評判だったと思います。
そんな中、ベテランならではの技術と”根性”を武器に、見事扇久保選手が勝利する結果となりました。
1ラウンドは井上選手が優勢に立ち技、寝技でもバックを取ったり等、大方予想通りの結果になると誰しもが思ったでしょう。
しかし、2ラウンド目からは扇久保選手得意の削り合いに持ち込み、井上選手を抑えて判定勝を収めました。
井上選手の”そういうところがあるんですよ・・・”
実は鼻の骨折や左指の脱臼等、試合中にトラブルに見舞われた井上選手。
本人としては言い訳にもなってしまうかもですが、それも敗因の一つだったと考えられます。
が、自他ともに認めるほど明確な敗因があります。
それは「負けず嫌いな性格」です。
扇久保選手と比較した場合、立ち技で優位に立てるのは前評判や1ラウンドの立ち回りで明白でした。
そのうえで、相手の土俵で勝ちに行ってしまうその性格から、この試合では扇久保選手の得意分野であるグラウンドで勝負をかけてしまい、相手のペースに乗ってしまうことに・・・
若く今後に期待が募る選手が故に、このような性格はワクワクする反面、大事な試合を落とし、次に続かない心配もありますね。
決勝戦!朝倉 海選手 vs 扇久保 博正選手
気になる二人のコンディションを比較
大晦日2試合目となる決勝戦。
やはり1試合目の影響を直接受けることになるため、決勝に挑む二人のコンディションが気になりますね。
観た印象で考えると、互い3ラウンドを戦い抜いた後とは言え、ファイトスタイル上、扇久保選手の方がスタミナの削りが激しいように見えます。
が、海選手は重大なトラブルが発生しており、なんと瀧澤選手との試合で右手を骨折するという事態に。
得意の右手が使えないエースと削られ切ったベテランの決勝戦が始まります。
決勝戦!
ケガの影響で得意の右手が思うように繰り出せない海選手。
左のパンチや膝蹴りで応戦しますが、やはり従来通りの打撃によるプレッシャーは感じ取れませんでした。
そんな海選手とは変わって、扇久保選手は本領を発揮。
必死に海選手に組み付き、得意な”削り”戦法に持ち込みます。
なんとか一発を出したい海選手を裏腹に、前回のタイトルマッチのお返しと言わんばかりに試合をコントロールする扇久保選手。
遂に3ラウンド終了のラウンドがなり、敗北を確信した海選手がうなだれていたシーンは未だに印象に残っています。
判定となった決勝戦は0-3で扇久保選手が勝利。
見事、バンタム級トーナメントにて優勝を果たしました。
露見した海選手の弱点
右拳を封じられた際、次の武器が無いことです。
バンタム級トーナメント2回戦 アラン・ヒロ・ヤマニハ選手戦でも、右拳を故障していた海選手。
今回は別箇所の骨折だったそうです。
ヤマニハ選手との試合でも見られましたが、得意の右拳を封じられた際、極端に動きが悪くなってしまう印象があります。
また、頻発してしまっている点も考えると、何らかの対策を考える必要があります。
まず一つは故障しない、故障の可能性が低くなるようなパンチの習得。
もう一つは、右拳を故障した際も闘えるもう一つの武器を習得。
おそらくこのどちらかを準備した上で、次戦に挑むのでは無いでしょうか?
RIZINバンタム級の今後
トーナメントというビッグイベントが終わり、更なるストーリーが始まることとなります。
そんなRIZINの今後を期待を込めて予想してみます。
トーナメント覇者 扇久保選手の今後
トーナメントを制覇した扇久保選手。
しかし、やはりある選手の名前が頭にチラついているようです。
因縁の相手である堀口選手との決着ですね。
堀口選手はbellatorのトーナメントに参加が決定しているのもあり、すぐの再選は不可能かもしれませんが、タイトルマッチが決まるのを期待しましょう。
やはり見たいカードは?
RIZINバンタム級で今一番観たいカードは、朝倉 海選手 vs 井上 直樹選手でしょう。
両者とも、本トーナメントでは優勝候補であったこともあり、二人の決勝戦を楽しみにしている方も多かったのではないでしょうか?
両者とも、自分の伸びしろに気づけた良い敗戦を踏めたと見ています。
成長した二人の試合が今からでも楽しみですね。